メディアゴン記事用に書いた原稿・・・。
実は、3回連載 のつもりで書いたのですが、3本目はカットされてしまったようです(;。;)
ということで、幻の3本目(笑)
ここに載せちゃいます♡
【その3 テロップの未来と「聞く力」】
前回までの記事で、若者のコミュニケーション手段とテレビのテロップの関係について考察した。
バラエティ番組でテロップ慣れした若者は、「テロップの無い」ドラマというジャンルから離れていった。文字でしか情報を受け取れなくなった人たちが、ドラマを見なくなるのは当たり前だ。だって、ドラマは「笑いどころ」も「泣きどころ」も演技で伝えるのであって、文字で伝えてくれたりはしない。聞く力が相対的に低下している世代には、「難しい」ジャンルとなる。このまま、日本人の「聞く力」が低下し続けたら、そのうちドラマにもセリフテロップが付いてしまうような日がくるのだろうか、と冗談ではなく心配した。(そんなことになったら、役者の演技とは何なのだという話になってしまう)テレビにどんどんテロップが増え続ける状況を、筆者は本気で憂えていた。
ところが今、若者達のコミュニケーションツールはメールからさらにLINEに取って代わりつつある。LINEの最大の魅力は、スタンプ機能であろう。人から送られてきた「情報」や「思い」に対して、「文字」ではなく、イラストによる「表情」によって返答できる便利さがウケた。文字からスタンプへの変遷は、テレビのテロップ量にも変化をもたらすだろう。
LINEの、スタンプでのやり取りはコミュニケーションがノンバーバル(言語以外の表情やしぐさなど)な部分へ回帰している証拠である。本来、人は言語以上に相手の表情やしぐさから、相手の思いをくみ取っている。メール主体のコミュニケーションは、意思疎通のすべてを言語に委ねてしまうやり方であった。しぐさや表情が見えないコミュニケーションは不安を伴う。そこで生まれたのが顔文字であり、絵文字であった。LINEスタンプは、ネット上でのノンバーバルコミュニケーションを具現化した。
きっと、もうすぐ、若者がドラマに戻ってくる。テロップのうるさすぎるバラエティ番組は、死んでいく。だって、表情からしぐさから「くみ取る力」が、LINEスタンプの多用によって育まれるはずだから。
メディアと国語力の関係は、けっこうおもしろい。